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zoom RSS 第45球

<<   作成日時 : 2005/12/22 01:23   >>

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 甘いマスクで目だけが輝いていた。おそらく女性にはかなりモテたと思う。胸が躍っていた。情熱にもあふれていた。燃えていた といってもいいだろう。やってやる! 変えてやる!…。すべての思いがエネルギーのようだった。

「大田原さんってことは…」
 明太郎は驚きの表情で問いかけた。

「ハイ、源太郎の息子です」
 健太郎はこう返して、軽く微笑んだ。

「健太郎君は元チェイサーの選手なんですよ」
 村澤が説明を加えた。

「ご存じないですよね。2年でクビになってしまったんで…」
「それをいうなら私だって…」
「あっ、すみません、村澤さん。そういう意味ではないので…」
「わかってますよ。さあ、話を続けてください」

 そういって、健太郎と村澤は顔を見合わせた。
 

 健太郎は父・源太郎の次男として生まれた。その時、すでに父はエイチエフのスカウトをやっていた。

「オヤジが何度も甲子園にいっていたなんて、後で知りましたよ。若くして、少年野球、高校野球の監督を務めていたってね。初めて聞いた時にはびっくりしました。でもオヤジはもともと、プロでやるのが夢だったそうです。もちろん、選手としてですけどね。でも、選手としては力が足りなかった。それで、自分の教え子たちに、その夢を引き継がせたんだって、言っていました。エイチエフからスカウトで来てくれないかって言われた時は、天にも昇る気分だったとも言っていましたよ。それくらい、プロの世界が夢だったんですね。私はそんなオヤジの背中を見て育ちました。といっても、ほとんど家にはいないオヤジでしたけどね…」


 健太郎はそんな父の影響で野球を始めた。少年野球時代は投手で、それなりの選手だったそうだ。高校は福岡・川埜平学院に進学。高1の時に甲子園に出場したが、健太郎はアルプスでの応援部隊だった。2年上に鬼車寅吉(現エイチエフ一軍マネジャー)2年下に朝竜興二(現東京スパーク投手)がいた。しかし、健太郎の時代はこれといった成績を残せなかった。しかし、チェイサーの入団テストを受けて、合格。その年のドラフト7位で指名された。

「あの時、オヤジは喜んでくれませんでした。お前なんかが通用するほど甘い世界ではないってね。でも後でチェイサーの方に聞きました。オヤジは球団の人によろしくお願いします。頼みます≠チて何度も、何人にも頭を下げていたそうです。何でも本当はエイチエフに入れたかったようです。でも私はなにしろ、力不足だったので…。その通り、入ってすぐにわかりました。厳しいってね。それでも頑張ったんですが、結局、一度も一軍どころか、二軍でもまともに試合に出ることなく、解雇となりました。2年でね。その時のオヤジは妙に優しかったなぁ。お前の人生はこれからが長い。ここからどう生きるかを真剣に考えないとダメだよ≠チて。ホント、穏やかな口調でした。それから私はオヤジの選手の見方を研究しました。もう一度、最初から野球を研究しようと思ったんです。アメリカにも行きました。メジャーもマイナーもルーキーリーグも、独立リーグもウインターリーグも、とにかく何でも研究しました。私は最初、オヤジみたいなスカウトになりたかったんです。技術はともかく、目はそれなりに肥えていると思っていましたから。それは今でも自信はありますよ」

 しかし健太郎はスカウトにはならなかったという。

「大田原さんは今、何をされているんですか」

 明太郎は聞いた。

「今はマネジメント会社をやっています。ごめんなさい。ご挨拶が遅れましたね」

 健太郎は明太郎に名刺を渡しながら、こう言った。

「アンドロメダっていう会社です…」


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    コメント(2件)

    内 容 ニックネーム/日時
    妃垣俊吾さん
    こんばんはネットで探す!の葵です。

    風邪ひいちゃって
    もっと読みたいねんけど
    今日はここまでです。

    こんな「しおり」のようなコメント
    ばかりでごめんなさい。

    応援 (*'-')σ ポチッ×6

    ネットで探す!e-Book情報商材のレビ...
    2008/02/23 01:14
    葵さんへ。
    本当にいつもありがとうございます。コメントしていただけるだけで、感激しております。体調はいかがですか。無理はしないでくださいね。
    妃垣俊吾
    2008/02/24 04:15

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