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zoom RSS 第30球

<<   作成日時 : 2005/12/04 17:11   >>

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 危機的状況にあった。人気が下落した。大入り袋が配られていた時代が懐かしい。テレビ視聴率も低下した。二ケタ取るなんて夢の夢だった。プロ野球が…。

「会長! もう考え直さなければいけないのではないでしょうか?」
「お前はまだ、そんなことを言っているのか。それをやると、どこもつぶれてしまうってことがわからないのか」
「お言葉ですが、やってみないとわからないと思います」
「お前は誰に意見しているつもりだ!」

 村澤三四郎は河橋衛太郎会長の目を見ながら物申していた。怒りは毛頭覚悟の上。この先、自分に厳しい道しか待っていない可能性があることも承知の上だった。ただ、言いたかった。自分が正しいか、どうかはわからない。経営のことを考えたら、無茶な考えかもしれない、とも思っていた。でも、一度でいいから、自分みたいな下界≠フ人間の意見を大トップの人に聞いて欲しかった。この日のために、ここまで頑張ってきたといっても過言ではない。勢いだけは天下の河橋にも負けるわけがない! 自分にそう言い聞かせた。大きく深呼吸をして対峙した。


 
 時間を戻す。かつて国民的人気を誇っていたプロ野球の流れが少しづつ、おかしくなりかけた頃に…。

 bP人気球団は東京グレート・ヤンキースだった。すべての中心だった。盟主という表現をしていいだろう。どんな世代にも人気があった。本拠地球場はいつも大入りだった。テレビ視聴率を確実に稼いだ。他球団とはかなりの差があった。東の老舗球団、その年で創立103年の伝統を誇っていた。他球団は、グレートの人気におんぶにだっこだった。テレビ放映権料はグレート戦で稼がせてもらった。テレビ局にはグレート戦を中継させるからといって、他の対戦カードも買わせた。いわゆるセット販売。それくらいグレートは飛びぬけていた。だから、どんな決め事もグレートの意向に背けなかった。それこそ野球界のルールもグレートが作ったといっても大げさではないかもしれなかった。

 グレートにはカネもあった。強くなければ、いけないとの強い使命感の元、戦力補強のためにそのカネをおしげもなく、つぎ込んだ。弱くなりかけたら、他球団の主力をカネで奪った。FA選手獲得には高額の補償金を相手球団に支払わなければいけなかったが、そんなカネがあるのはグレートだけ、 みたいなものだった。ドラフトではカネにものを言わせて、有望選手を獲得した。はっきり言って強くて当たり前だった。戦力均衡どころじゃなかった。ところが…。


「いったい、グレートのフロントは何をやっているんだ。カネをかけても、ちっとも強くならないじゃないか。生え抜きの若手も育っていない。高額な契約金を払った割りに、他球団に比べて、伸びてこない。どうなっているだ!」

 河橋はいらだっていた。ここ数年、グレートは優勝できなくなっていた。それどころか、Bクラスが指定席になっていた。弱いグレートにファンもソッポを向き始めた。人気に陰りが見え始めた。

「選手の年俸が高すぎるよ。世の中、こんなに長く不景気なのに…」

 球場に見に行っていたファンがテレビのインタビューにこう答えていた。野球ファンでさえ、こんな意見を言うようになっていた。物価上昇分なんて言葉が聞かれなくなっても、上がり続けたプロ野球選手の年俸。それでもプロ野球関係者からは、ものすごいお金を稼げることがファンに夢を与えるんだ、と、正当化する声が出続けた。しかし、一般人とのバランスはもはや夢レベルを越えてしまったのかもしれない。

 グレートが弱くなった代わりと言っては何だが、西の老舗球団・大阪チェイサー・フォーチュンズが強くなった。こちらも創立102年の名門。ファンも根付いていた。グレートみたいに全国区ではなかったものの、それなりの人気球団だった。そのチェイサーがグレートに匹敵する人気を得始めた。それこそ、抜かんばかりに…。気の早いマスコミは盟主交代とまで書きたてた。まだ視聴率も稼げる方だった。チェイサー戦の方がグレート戦よりも客が入るようにもなった。カネもそれなりに持っている球団だった。

「チェイサーが流れを変えてくれるのではないか。カネまみれの球界を…」

 こんな風に考えていたのは選手会の高杉明太郎リーダー(神奈川マジック)だった。放映権料のグレート1人勝ちや、戦力補強におけるグレート中心主義の流れを変えたかった。変えないといけないと思った。ひとつの例、案として、放映権料もコミッショナーが一括管理して、全球団に分配するやり方にならないか とも思った。そして…。

 その年のオフ、明太郎は密かに大阪に向かっていた。チェイサーのドン・絃本房壱と会うためだった。一野球選手に対して、ドン自らが会うのは異例のことだった…。



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    コメント(6件)

    内 容 ニックネーム/日時
    実は上のトラックバック記事作成(会員用)に一生懸命コメント入れようとしてました!
    何やってるんだろう。すみません(^^;
    さて、ようやく球界危機編に突入です。
    まだ頭の部分だけですが、今の現状とダブってしまいます。
    それにしても小説書けるなんてすごいですね。
    本職なんですか!?
    ペース遅いですが続き読んだら又コメントしたいと思っています。では。
    ごえもん
    2006/08/11 01:16
    ごえもんさんへ。
    コメントありがとうございます。大変励みになります。読んでいただけるだけで光栄です。これからもよろしくお願いいたします。
    妃垣俊吾
    2006/08/11 04:47
    こんばんは
    ネットで探す!の葵です。

    今日はここまで、

    円陣組んで
    葵:「絶対読破するゾー」
    その他:「オゥー!」

    応援!(*'-')σポチッ×6
    ネットで探す!e-Book 情報商材のレ...
    2008/02/09 22:58
    葵さんへ。
    いつもコメント、そして応援、ありがとうございます。そこまで言っていただけると、もう感激するばかりです。30球からが本編です。今後ともよろしくお願いします。
    妃垣俊吾
    2008/02/10 03:33
    初めまして!hidanoっていいます。
    僕のブログでは自伝的な野球物語を書いてるんですが、
    「他に野球小説書いてる人いないかな〜。」
    と探しまくっていた時に『アンドロメダ』がありました。
    読み始めたらも〜止まらなくって。やっぱり小説っていいですね!
    僕ももっと力をつけて、『アンドロメダ』のような小説を書いてみたいです!!
    hidano
    2008/03/17 03:11
    hidanoさんへ。
    はじめまして。コメントありがとうございます。こんな感じの野球小説ですが、どうかよろしくお願いします。また遊びに来てください。
    妃垣俊吾
    2008/03/17 03:42

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