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zoom RSS 第53球

<<   作成日時 : 2006/01/04 17:51   >>

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 名コンビだった。親友だった。切磋琢磨した。両方が刺激しあい、助け合いながら、実力を伸ばした。知る人が見れば、まるでタイムスリップしたみたいだった、そうだ。これも何かの巡り合わせなのだろうか。2組の父と子が同じ道を歩み出していた。

 東京・瑞泉高校野球部は1年生加入とともに盛り上がりだした。いきなりレギュラーの座を獲得する選手が2人も出てきたからだ。1人は剣源氏。プロ野球・東京グレートの4番打者・剣源之助の長男。二世選手として注目を集めるだけでなく、その実力も抜けていた。瑞泉シニア時代は、あまり目立たなかったが、高校進学とともに、素質はさらに磨かれたのだろう。投げては左の本格派でエースナンバーをゲット。打っても、父親譲りの抜群のセンス。今や3番打者として君臨している。

 もう1人は早瀬将吾。こちらは中学まで野球経験はなかったが、その運動神経はずば抜けていた。体は小柄だったが、高校進学とともに身長も急速に伸び始めている。走攻守3拍子揃った選手で1番センター。もはやチームには欠かせない切り込み隊長だ。

「まだ1年生ですけど、あの2人は楽しみですよ。僕は密かに今年の夏から甲子園のチャンスがあるんじゃないか、と思っています」
「確かに2人は目立っていますね。私は先日の練習試合を拝見させていただきましたが、驚きました。早瀬君の足とバッティングセンス。剣君の長打力とあのピッチング。どれもこれも1年生とは思えませんでしたよ」
「あなたもそう思われるでしょ。本当にびっくりしているんですよ。どうして彼らが中学の時に注目されなかったのかってね。早瀬なんて、野球をやっていなかったんですから…」

 練習中のグラウンド。瑞泉の野球部監督の風喜菊五郎は首都タイムズ記者の樹鞍諒一を相手に胸を張っていた。

「おーい、剣と早瀬! ちょっとこっちに来い」

 風喜監督は2人を呼んでこう言った。。

「お前たち2人を、首都タイムズさんが取材したいそうだ。ただし、余計なことは言わないようにな」

 言われた通り、2人は樹鞍の前に出た。

「よろしくお願いします!」
 
 声を揃えて挨拶した。

「こちらこそ、よろしくね。じゃあ聞くけど、君たちは同じ瑞泉中だったんだね。その頃からコンビだったの?」

 樹鞍の質問が始まった。2人はそれにハキハキと答えていった…。

 コンビ結成はあの河原の出来事がきっかけだった。今からわずか8ヶ月前のことだ。源氏が父・源之助に生まれて初めて本格的に野球を教えてもらった河原。それをたまたま見ていた早瀬。そこから2人のコンビとしての野球人生が始まっていた。剣は野球の面白さ、楽しさを実感して、さらに進化した。それまで野球に全く縁がなかった早瀬は父・達将を担ぎ出して、バッティングセンターで練習を始めた。時間を見つけては、あの河原でも練習した。その時から一緒に瑞泉高野球部で甲子園を目指そうと誓っていたという。

「そこまで2人を結びつけるものはほかに何かなかったの? 特に早瀬君は全く野球をしていなかったのに…。どう?」

 樹鞍の優しい問いかけに、高校1年の2人は顔を見合わせてニヤっとした。

「僕の場合は父の影響ですかねぇ…」

 こういったのはグレートの4番打者を父に持つ剣ではなく、父が公務員の早瀬の方だった…。


 (参照:第1球第16球


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    コメント(2件)

    内 容 ニックネーム/日時
    いつもコメントありがとうございます。
    私のしょーもないブログですが、見ていただいている方がおられるのは感激です。
    本年も意味のないくだらんことばかり書くと思いますが、軽い気持ちで見守ってください。
    ててて06
    2006/01/04 23:50
    ててて06さんへ
    こちらこそ、どうもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。暇な時に遊びに来てください。
    妃垣俊吾
    2006/01/05 00:59

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