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zoom RSS 第205球

<<   作成日時 : 2007/06/23 02:36   >>

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 「できる限り、何とかやってみます」。18歳になったばかりの高校球児は深々と頭を下げた。兵庫県内の某病院。お世話になった看護婦からも「応援するからね」と激励された。ときめいた。力がわいた。「ようやく…」。腕を軽く回した。


 熱戦が続くマンモスではついに4強が出揃った。注目は早瀬将吾、剣源氏の「1年生GSコンビ」を擁する西東京代表・瑞泉だった。接戦だった初戦を除き、相手を寄せ付けずに勝ち上がった。トップバッターの早瀬は走攻守に渡って抜けていたし、剣は安定したピッチングもさることながら、その長打力が話題にもなっていた。当初はダークホース的な存在だったのが、戦うごとに評価をあげていた。同じ1年生で形成されたスーパー軍団・愛知・にしき水惣は敗れてしまったが、瑞泉対水惣を見たかった、という声も少なくない。



 「それにしても今年の1年生はすごいな」。首都タイムズのアマチュア担当記者の樹鞍諒一も準決勝取材の資料を整理しながら、改めてそう思っていた。そして「スターってやっぱり出てくるものだな」と思った。


 今大会は予選で春Vの神奈川・丘陵が敗退した。スーパースターだったラグナル・フリッシュは謎の失踪騒ぎを起こして、予選にさえ出場していない。昨夏のマンモスで話題を集めたモデルでもある長崎・桜福坂の速水拳は野球の実力も開花させながら、これまた予選で敗れている。それだけに、今回は目玉なき、本命なき大会と言われていた。それがフタをあければ、過去の大会以上のレベルの高さだ。


 「こんな選手も出てきたしなぁ…」。樹鞍は資料をチェックしながら、そう思った。準決勝第1試合に出場する選手の名前をノートにもう一度書き込みながら…。



 「飛浦海斗」。この選手も、今大会に入って頭角をあらわした1年生だった。しかも飛浦の場合は予選も決勝だけにしか出場していなかった。その初登場の試合でマンモス切符獲得に大貢献するや、本選でも毎試合に派手に活躍した。プレーもさることながら、イケメン選手としても注目を集めている。女性ファンはあっという間に増え、その盛り上がりもハンパではない。昨夏の速水フィーバーに匹敵するものだったし、おまけにチームも勝ち進むから、さらに「海斗熱」は高まっていった。



 「どうなっているんやろ」。飛浦自身もこの騒ぎには戸惑っていた。これまでもモテなかったわけではない。しかし、こんなふうにモテモテだったわけではない。3月までは普通の中学生。まさに別世界だ。


 「でも、いいんやろか、こんなにうまくいって…」。飛浦はこう思わずにはいられない。そもそも勘違いで始まった野球人生だった。兵庫代表・守野台の背番号10の1年生投手は人違いで入部したようなものだったからだ。それからわずか4ヵ月後、こんな舞台に、こんな騒ぎの中、立つことになろうとは、想像もできない状況だった。



 守野台には大黒柱がいた。1年生の頃からプロにも注目されたエースだ。それが、まさかの…。


 「今年のオレってついているのかなぁ。ただ、それだけなのかなぁ」。じゃんけんではほとんど負けたことがない飛浦は時々、そう思う。





 「海斗」「海斗」「海斗」!


 準決勝当日、スタンドは、とにかくすごい騒ぎだった。



 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして 鉄腕あとむともうします
ブログ訪問コメントありがとうございました。
高校野球すきなんですね、文章からストーリーから

それがにじみ出てます。すごいです
本当にすごいですよ。鉄腕には書けません
またお邪魔しますので よろすく
鉄腕あとむ@スポーツ観たり聞いたりさぐっ...
URL
2007/06/28 15:59
鉄腕あとむさんへ。
コメントありがとうございます。こんな調子で書いていますが、まだまだアンドロメダは続きます。今後ともよろしくお願いします。こちらこそ、いろいろ教えてください。
妃垣俊吾
URL
2007/06/29 02:22

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