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瑞泉(西東京)アルプス席からも再び黄色い声が響き渡った。「ゲンジ! ゲンジ! ゲンジ!…」。打席に向かうGSコンビの「G」剣源氏もその声がはっきり聞き取れた。ピッチングでなえていた心が、この時は再び高ぶっていた。イメージもできていた。自分が取られた分は自分で取り返す! 燃えていた。 守野台(兵庫)応援団も負けていなかった。もちろん、香村瞳を団長とする海斗マニアがもの凄い声で対抗する。「海斗! 海斗! 海斗!…」。マウンドの1年生投手・飛浦海斗は、その声に勇気づけられた。「いっちょう、やったるか!」なんてふいにそう思ったという。 6−5。5回表。瑞泉がGSコンビの「S」早瀬将吾の3打席連続ホームランで再び1点リードを奪い、続く2番・田江が三遊間を破って、無死一塁。ここで打席に入ったのが剣だ。 第1球。飛浦がキャッチボール投法でナックルを繰り出した。すると…。 KOSMOS放送の塁沢高次アナがすかさず、声を上げた。 「一塁ランナー、スタート!」 外角へのナックル。ボール球だ。剣は見逃した。キャッチャーの石陪が捕球して、二塁へ送球する。間に合わない。田江が二盗に成功だ。 振り返れば、飛浦はまともにナックルを投げるようになってから、GSコンビの一発以外で、走者を許したのは田江が初めてだった。ゆっくりしたピッチングフォーム、遅いボール。確かに盗塁に最適だった。 もちろん、守野台サイドもそれは覚悟していた。ランナーが出ると、そうなると…。 続く2球目のナックルも外角へのボール球。剣はこれを悠然と見逃し、田江は大胆にも三塁にも走り、難なく成功した。 無死一塁がたった2球で無死三塁だ。初回に2つのワイルドピッチでサードまで走者を進めた時も同じようなシーンがあったが、今回の瑞泉の攻撃は完全に狙ってのもの。守野台・紀中監督も思わず腕組みだ。 だが、飛浦は平然としていた。「いくら何でもホームスチールは無理だからな」と思っていた。どこにいくかわからないナックルを必死に捕り続ける石陪にパスボールが許されない状況になっても…。 「いっちょう、やったるか!」。飛浦はまたまた、ここで思ったという。そして石陪に何気なくサインを送った。普通のサインではない。秘密のサインだ。それから、いつもの両手を交差する儀式に入った。「ヨシっ」と…。 バットを立て、剣は一瞬だけ目を閉じた。三塁走者を返すことだけに集中した。 「ナックルへの対応はできている」。自信もあった。 そんな剣を石陪はじっと観察していた。 実は飛浦から秘密のサインを出され、心配になっていた。気持ちを悟られてはいけないと思い、動揺した姿は見せていないつもりだったが、内心はドキドキだった。だって、この試合で、そのサインが出るとは思っていなかったから…。 「ゲンジ! ゲンジ! ゲンジ!」 「海斗! 海斗! 海斗!」 「ゲンジ! ゲンジ! ゲンジ! ゲンジ!」 「海斗! 海斗! 海斗! 海斗!」 この対決の間、マンモスはずっと、それぞれの応援コールが重なり合っていた。すさまじい熱気だった。この時間、グラウンドでの体感温度はかなりのものがあったのではないだろうか。 塁沢アナが声を上げた。 「飛浦が剣に対して、3球目ぇ!」 剣のバットが少々、揺らいだ。 「えっ!」 瑞泉ベンチからも、そんな声が漏れた。 そして、守野台サイドも…。 「飛浦!」。紀中監督は…。 |
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おはようございます。コメント、なかなかできなくてごめんなさい・・・>< |
メロンパフェ URL 2008/05/17 09:46 |
メロンパフェさんへ。 |
妃垣俊吾 URL 2008/05/19 02:41 |
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