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zoom RSS 第268球

<<   作成日時 : 2008/08/31 01:33   >>

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 アンドロメダ的夏…。スタンドの視線は1点に集中していた。瑞泉(西東京)アルプス席では、GSコンビの「S」早瀬将吾の父・達将が、いつのまにか、横にあったメガホンを強く握り締めていた。おそらく、見ている人の多くがそうだっただろう。「対決」に力が入った。息も飲んだ。ドキドキした…。



 守野台(兵庫)の一塁を守る椿直広は打球に備えながら、いろんなことを思い出していた。「先輩! 思い切って投げてください!」。そう思いながら…。






 「先輩! 思いっ切り、投げ込んでください!」




 7月の県予選前、椿はエース・太薙原紘一とマンツーマンで秘密練習を続けていた。この場所は紀中監督にも教えなかった。別に教えても構わなかったのだが「その方が秘密特訓って感じだろ」と太薙原がこだわった。




 実は学校から走っていける距離にあった。アンドロメダの欅重次郎トレーナーがアンドロメダ本部に頼んで、何と移動式の練習場が用意された。長崎・桜福坂の速水拳にアンドロメダ九州地区担当調査員・神威小次郎が用意した練習設備にも似ていた。そんなに広くはないが、トレーニングをするには十分だったし、ブルペンもあった。




 練習はいつも二人だけ。欅の太薙原へのマッサージは、これとは別の場所で行われていた。





 太薙原は夏の予選までに椿を第2投手に仕上げるつもりだった。椿が投げるときは太薙原が捕手を務めた。練習は休みなく続いた。




 椿のロボット投法はそこでできたものだ。何度も何度も、繰り返し、繰り返し、ようやくモノにした。




 もちろん、練習は椿だけのためではない。太薙原もピッチングに磨きをかけた。この時は椿がキャッチャー。そこで何度も声をかけた。「先輩! 思いっきり投げ込んでください!」。



 最初のうち、太薙原は急造捕手の椿を気にして、本気のボールを投げていなかった。椿はそれが申し訳なかった。だから、キャッチャーとしても真剣に取り組んだ。いつしか、太薙原は普通に投げるようになっていた。




 ストレート、スライダー。椿は太薙原の本気のボールを受けられるようになって、改めて、その凄さを感じ取った。「将来、プロに行く人のボールって、こういうものなんだろうな」。そう思った。ボールの回転から何から何まで、違っていた。ほれぼれした。うらやましかった。






 椿はあのときのこともよく覚えている。



 「先輩! 今のは…?」




 「悪い、悪い、今度からはちゃんと申告するから」




 「石陪さん(守野台の正捕手)は知っているんですか」




 「いや、まだ。でも予選までにはちゃんとな」



 「もしかして、甲子園用とか言うんじゃないでしょうねぇ」



 「す、鋭いな、お前…」



 そう言って笑った太薙原の顔を椿はよく覚えている。秘密特訓へのこだわりといい、「秘密」という響きが好きなんだろうな、とクスっとなってしまった自分のことも…。







 マンモス決勝戦、7−6。守野台1点リードで迎えた6回二死走者なし。ここでマウンドに上がったのは太薙原。バッターはここまで3打席連続ホームランの早瀬。1球目、ストライク、2球目、ファウルでカウント2−0。





 太薙原は3球勝負にいった。しかし、マンモスで、またさらに成長した早瀬は、やはりただものではなかった。そのバットは神戸の豪腕のストレートにまさしくドンピシャリのタイミングで襲い掛かった。 

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