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zoom RSS 第278球

<<   作成日時 : 2008/11/09 04:10   >>

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 センターのポジションについた瑞泉(西東京)GSコンビの「S」早瀬将吾は肩と足を軽くさすっていた。「何とかお願いします。持ちこたえてください」。祈っていた。ここでリタイアするわけにはいかない。あと一勝負、残っている。「打てないはずはないんだ」。そう言い聞かせた。



 マンモス決勝戦は8回裏。7−6。1点リードの守野台(兵庫)の攻撃だ。打順は8番、キャッチャーの石陪歩だ。「太薙原を楽をするためにも…」との気持ちを込めて、打席に入った。守りはあと1イニング、そこをゼロに抑えれば、ついに全国制覇を達成できる。エース・太薙原紘一は7連続三振とのっている。それでも石陪は気にしていた。9回には瑞泉・早瀬に回ることを…。



 無理もない。この試合、先発の飛浦海斗が早瀬には3打席連続ホームランを浴びた。その打棒はハンパではない。4打席目は太薙原が三振に封じ込んだが「次は簡単にはいかないはず」と思っていた。エースを信頼していても、ここは1点でもリードを増やしたい。そう切に思った。そうしないとまずいような気がしてならなかった。




 だが、調子を取り戻した瑞泉のGSコンビ「G」剣源氏を攻略するのは、もはや簡単ではなかった。ボールのキレがよくなっていた。石陪は手元で伸びているように感じた。セカンドフライを打ち上げた。



 9番は途中出場の椿直広だ。これまた「先輩を楽にさせないと…」と勇んでバッターボックスに向かったが、そんな気迫も空回り。ファーストゴロでツーアウトだ。





 神奈川マジックスタジアムでテレビ観戦の剣源之助も、そんな息子の投球に目を細めていた。マンモスで成長した姿に感動していた。ゲーム前半、中盤と苦しんでいただけに「よくぞ、ここまで立ち直った」と心底、思った。目には涙が…。タオルをつかんだ。他の選手に気がつかれないように、汗をふくように、軽く顔をなでた。



 剣は守野台のトップバッター・慶永もサードゴロに打ち取った。「よしっ!」。軽くガッツポーズも出た。1点リードされていても「これでいける!」と思った。




 センターから早瀬が戻ってきた。万全ではない体なのに、それを感じさせない、元気な足取りで…。




 「将吾!」。剣は声をかけた。早瀬は笑みを浮かべた。そして、2人ともに厳しい男の表情に変わった。9回の逆転に向けて、GSコンビは気合を入れ直した。





 太薙原はちょっと、ゆっくり目でマウンドに向かった。9回の瑞泉の攻撃は8番から始まる。石陪も意識していたように、エースもまた意識していた。1番・早瀬を…。




 「さあ、決勝戦はいよいよ9回に突入です。守野台が1点を守りきるのか。それとも、瑞泉が粘りを見せるのかぁ!」。KOSMOS放送の塁沢高次アナのボルテージは、もはや上がりっぱなしだ。




 8番・東乃は打席に入った途端、マウンドの太薙原に向かって「ウォー」とほえた。気合では負けないと思った。




 その1球目、東乃はバントした。だが、重い太薙原のボールをうまく転がせない。あわやキャッチャーフライのファウルになった。



 2球目も東乃はバントした。これまたファウルだ。追い込まれた。しかし、3球目も…。



 「何と3球連続バント失敗、スリーバント失敗だぁ!三振、これで8連続三振だぁ!」。ワンアウト。テレビでの塁沢アナの絶叫に呼応するかのように、守野台アルプス席が大いに盛り上がる。優勝まであと2人だ。




 それにしても3球連続バント、太薙原はちょっとだけ呼吸を整えていた。なんてことはない。気が入っていた。すぐに投球に集中できた。



 149キロ、148キロのストレートで9番・昭和をあっという間に追い込んだ。そして外角低めいっぱい、148キロストレートで見逃し三振。とうとう9連続三振奪取だ。



 いよいよあと1人。そして、いよいよ、再び対決が…。




 9回二死走者なし。口元を引き締め、早瀬が打席に向かった。

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