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zoom RSS 第290球

<<   作成日時 : 2009/02/02 02:58   >>

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 東東京・真極学園の大伴監督は「もう、これ以上言っても無理なんだろう」とあきらめた。それほど、彼、いや彼らの決意はかたかった。「また、秘密兵器をつくらないとな」。指揮官はつぶやいた。いったい、何が起きたのか。きっかけは、一通の手紙。それが届いてから、事態は急展開していた。



 マンモス大会中に真極学園には、こんな打診があった。「大会後の日米親善野球の日本代表メンバーに、真極学園の荒堀浩二投手と古城直人内野手、高杉賢明内野手、それに、ケガの状態からすると難しいでしょうが、毛利拓馬外野手も候補に入れました」



 3回戦で愛知・にしき水惣に0−10で大敗、しかも結城亮にノーヒット・ノーランまで喫したというのに、真極四天王の評価は高かった。大伴監督もうれしかった。夏の秘密兵器として育てた2年生4人。それが揃いも揃ってなのだから…。



 水惣戦で両アキレス腱断裂の毛利は残念ながら無理だが、他の3人に関しては「勉強になるし、いい経験になるから行ってこい!」と大伴監督は声をかけた。



 ところが、3人の反応はイマイチだった。水惣戦で終盤のスタミナ切れをつかれた荒堀は「申し訳ありませんが、断ってもらえますか。正直、今は自信がないんです…」とか細い声で言ってきた。水惣戦後、荒堀は確かに元気がなかった。大伴監督は親友の毛利が入院していることもあるのだろう、と思っていたが、精神的なダメージは思った以上に大きかったようだ。最初は「そんなことを言わずに行ってこいよ」とプッシュしたが、新チーム練習の荒堀の様子を見て、そう言えなくなった。




 「これは、思った以上に重症かもしれない…」



 代表入りを想定して、ブルペンで投げさせたところ、ボールの走りが大会中とは全然、違っていた。しかも、伝家の宝刀のはずのフォークが無茶苦茶だった。どうしたら、こうも変わるのだろう、というくらい、決まらなかった。ほとんどが落ちることない棒球。これではフォークとも呼べなかった。



 「自信がないんです」



 荒堀は頭を下げた。これ以上、大伴監督は強く出場を薦めることはできなかった。






 スラッガー・古城は出場に関して「ちょっと考えさせてもらっていいですか」と言ってきた。大伴監督が「どうした?」と聞いても「すみません」としか言わなかった。




 古城は悩んでいた。「行きたいけど、真極学園のみんなのことも考えると…」と…。



 そこで相談したのはアンドロメダリーダーの大田原健太郎だ。豪州にいた古城をスカウトしたのが健太郎だったし、その縁でアンドロメダメンバーとなり、日本行きを決め、真極学園に転入できた。今回の件も言わないわけにはいかなかった。真極学園がマンモスを去った後もアンドロメダの面々は大阪に残り、試合チェックを行っていたので、相談といっても電話でするしかなかったが…。





 健太郎は初めて、その話を聞いた時、即座にアドバイスはできなかった。古城が悩むように、健太郎も考えた。そして結局はやりたいようにやらせよう。アンドロメダは未知の魅力ある選手たちに、練習環境などを無料で提供したりするマネジメント会社。今回も古城をバックアップしようと…。サブリーダーの鬼車寅吉も健太郎の考えに賛同した。

 

 早い方がいい。相談を受けた翌日には、健太郎の方から古城に連絡をとり、気持ちを伝えた。




 「ありがとうございます。すみません、わがままを言って…」。だいぶ流暢になった日本語で古城は電話口で頭を下げていた。



 決めた。古城は真極学園を去ることを…。日本を去ることを…。



 水惣戦敗退の翌日に届いた手紙が、そんな流れを作っていた。



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    はじめまして。ペコリ(o_ _)o))
    ご挨拶かねがね訪問させていただきました。
    ブログ読者登録ありがとうございます。ペコリ(o_ _)o))

    (ノ゜ο゜)ノ オオオオォォォォォォ-
    小説を書いてらっしゃったんですね。

    私も野球は大好きなので(*^^)
    私も登録して拝見させていただきます。
    ポッポ
    URL
    2009/02/02 12:52
    ポッポさんへ。
    コメントありがとうございます。野球好きなんですか、大歓迎です。こんな感じの野球小説ですが、どうぞよろしくお願いします。
    妃垣俊吾
    2009/02/03 02:03

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