アンドロメダ

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<<   作成日時 : 2009/07/06 02:48   >>

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 東京都内のホテルでアンドロメダ調査員の架嶺雄大は、自然といろんなことを思い出していた。自分が担当した選手が愛知ソニックからドラフト指名された喜びをかみしめながら…。アンドロメダリーダーの大田原健太郎も同じだったのではないか。あの日がなければ、今はない。そして「彼」がいなければ今はない…。



 当時、首都タイムズのカメラマンだった架嶺は、あの日、同紙のアマチュア担当記者・樹鞍諒一から、こう言われた。「取材の後、軽くメシにいきませんか? ちょっと紹介したい人がいるんで…」



 架嶺は「いいけど、誰? まさか、この前の女じゃないよな」と小声で言った。「違いますよ、男ですから、いい人ですよ。きっと、架嶺さんも興味を持つと思いますよ」。樹鞍は笑っていた。その時はそんなに深く、考えていなかった。




 都内の洋風居酒屋が待ち合わせ場所だった。健太郎は2人よりも先に来ていた。「すみません、待たせちゃったみたいで」。樹鞍は恐縮した。健太郎は優しい笑みを浮かべていた。



 「はじめまして。架嶺といいます」と言って、架嶺が名刺を渡すと、健太郎もすかさず名刺を用意して頭を下げた。



 2人が打ち解けるのには時間はかからなかった。いろんな話で盛り上がった。某学校の某選手のこととか、マニアックな話ばかりだったが…。



 埋もれた逸材の育成に力を入れる、というアンドロメダの姿勢に架嶺は興味も持った。これまで架嶺が「見出してきた」選手の話に、必ず健太郎は食いついてきた。どこがよかった、ここに注目した…。意見もあった。それぞれの、あそこにはこんな選手、という話は、お互い、聞き入っていた。



 2時間ほどで会はお開きとなったが、それ以来、取材現場で出会うたびに、健太郎と樹鞍&架嶺コンビはよく食事にいった。仕事の話のようで、趣味の話のような…。架嶺はいい人を紹介してもらったような気分だった。




 それから、1ヵ月後だった。健太郎が架嶺に、こう申し入れた。



 「架嶺さん、うちの調査員になる気はありませんか。アンドロメダに協力してくれませんか。給料は今の首都タイムズさんの分は保証します。どうでしょう。考えてくれませんか」



 アンドロメダを拡大していくうえで、架嶺はぜひとも必要な人材と健太郎は確信していた。思い付きではない。ここまで、何度も話をしていったなかで、アンドロメダの理念にもマッチした人だと思った。満を持しての首都タイムズからの「引き抜き」だった。



 だが、架嶺は即座にこう答えた。



 「健太郎さん、アンドロメダには非常に興味を持っていますが、申し訳ありませんが、その話はお断りさせてください。大変、ありがたいのですが、カメラマンの仕事をやめたくはありません。カメラは僕の人生には欠かせません。カメラがあって、はじめて、いろんな選手を見ることができたと思っているし…。それに僕は首都タイムズが好きなんです。妻や2人の子供と相談しても、同じ結論になると思います。すみません」




 あまりにあっさり答えられたので健太郎は驚いた。でも、深追いはできそうにない。



 「わかりました。今回は引き下がります。でも、いつでも言ってください。アンドロメダはいつでも架嶺さんをお待ちしていますから…」と潔く話した。




 そんな架嶺が後にアンドロメダに入る理由となるのが「彼」の存在だった。故郷・札幌市の、ある高校の取材に樹鞍とともに出かけたのが「彼」を知るきっかけだった。




 いつものように、そこでみつけた逸材の話が、架嶺の人生の流れを変えていった。



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