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zoom RSS 第304球

<<   作成日時 : 2009/07/14 01:47   >>

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 アンドロメダ調査員の架嶺雄大は思い出し笑いもしていた。「気がついたら、アンドロメダに入っていたからなぁ…」なんて考えながら…。「俺の原点である札幌が新たな出会いに導いてくれたんだよなぁ…」。昨日のことのように思い出された。1日、1日、変化していた自分の気持ちにさえ気づかずに通り過ぎた日々が…。




 札幌は架嶺の故郷だ。上京してどれだけ月日が経過しても、地元のにおいを忘れることはない。駅についた。階段を降りた。改札を出た。右に出た。外の空気をちょっとだけすって、また階段を降りて、地下鉄の駅に向かった…。




 すすきののホテルに着いた。実家があるにもかかわらず、架嶺は仕事で出張の時はホテル暮らしをする。それがけじめ、というもの。もっとも、夜は同僚の首都タイムズ・アマチュア担当記者の樹鞍諒一とホテルのバーで、打ち合わせのような飲み会。それで一日を終えるのがパターンだったが…。




 あの日、架嶺は樹鞍よりも、一足早く札幌入りしていた。ホテルに着いても、チェックインができず、ひとまず仕事道具以外はフロントに預けて、外に出た。



 「ちょっと時間があるなぁ、さて、どうするか…」



 そう考えながら、歩いていた。健康も考えて歩いていたつもりだった。カメラなど機材はかなり重い。でも、これだけは簡単に預けたくなかった。習慣だった。どこで、どんな出来事と遭遇するか、わからない。その時をいつも考えていた、つもりだった。



 どれだけ歩いただろうか。かなりの時間がたっていたのは間違いない。故郷とはいえ、知らない場所はたくさんある。その日、架嶺が歩いていたコースは気がつけば、初体験のルートだった。




 「おっ」



 架嶺が反応したのは、やはり球音だった。仕事上、やはり、これには敏感なのだろう。遠くで聞こえた音に引き付けられるように、歩いていた。




 「やってる、やってる」




 しばらくして、視界に飛び込んできたのは草野球だった。




 少々の年配の人たちが楽しそうに白球を追いかけていたように見えた。



 野球を楽しんでいる人たちを見るのが架嶺は好きだった。なぜか、ほっとした。三振したって、エラーしたって、笑いながら、やっている姿がこれまた好きだった。試合結果は大事だ。勝たなければ面白くないし、打たないよりは打った方がいい。打たれるよりは抑えた方がいい。でも、それがすべてではない。架嶺はそう思いたかった。普段の仕事では、なかなかそう見ることができないから、余計、仕事を離れた時はそうなっていたようだ。





 いつしか、年配の人たちのプレーに架嶺は足を止めた。腰をおろして、野球をながめていた。





 「これで今日の晩飯はOKですよね」




 そのなかで、ずばぬけて若そうな男性が笑顔でそう言っていたのが聞こえた。





 「おお、おお、もちろん。ありがとうよ、にいちゃん」




 そう言って高笑いしていた年配の男性は胸を張ってマウンドに向かっていった。それから、気持ちよさそうに投げた。




 「年のわりには、いいボールを投げるなぁ。若かった頃は、それなりの経験者だろうな」。架嶺はひと目でそう感じた。すぐに人を評してしまうのは、もはや職業病だろう。しばらく、草野球を観戦していた。時を忘れて…。





 次に時計を見た時、ちょっとだけ慌てた。樹鞍との待ち合わせ時間が迫っていたからだ。




 「結局、こうなるんだよなぁ」とぼやきながら、草野球のグラウンドから通りに出て、タクシーを拾った。帰りも歩いたら、もっと健康によかったろうに、なんて思いながら…。





 「彼」との最初の出会いは、そんな感じだった。「こういう偶然ってあるんだよなぁ」と今、振り返っても、そう思う。




 架嶺は樹鞍と合流し、目的地の某高校に向かった。




 そこにはイキのいい投手がいた。すぐに架嶺は興味を持った。さらに、その子についていろんな話を聞いて、驚くことが…。



 それが「彼」との接点だった。



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