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タイトル 日 時
第260球
 センターの瑞泉(西東京)GSコンビの「S」早瀬将吾も走った。全速力ではない。流した感じで走った。足の状態からして、それしかできなかった。マウンドのGSコンビの「G」剣源氏はそれを余裕の表情で見つめていた。満足そうな表情といった方が正解か。「勝った…」。そう確信していたようだ。 ...続きを見る

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2008/07/05 04:06
第259球
 どうしても気になった。同じ高校1年生。正直、自分の方が力は上だろう、って思ってはいた。向こうはすごい人気だけど、顔だって、とさえ思った。だからだろうか。いざ対決すると、意識した分、何となく…。「負けたくない」。そう思った。力んでいた。しかし、それが不思議と…。 ...続きを見る

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2008/06/28 01:47
第258球
 マンモス決勝戦。KOSMOS放送の塁沢高次アナは入れ込んでいく自分をわかっていた。「オーバートークは控えよう」と考えていたものの、だんだんと本来の…。すでに何度も絶叫はしていた。だが、まだまだ序の口のつもりだったようだ。試合は中盤。全国のお茶の間に、本格的な塁沢節もいよいよ炸裂しようとしていた。 ...続きを見る

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2008/06/21 02:27
第257球
 海斗マニアの団長・香村瞳は「今こそ、私たちの出番よ!」とアルプス席で「団員」たちに声をかけた。守野台(兵庫)の1年生投手・飛浦海斗が苦しんでいる。「私たちの声で彼に元気を与えたい」。そう思った。これまでだって、声を張り上げてきたのに、この時はさらにそう思えてならなかった、という。 ...続きを見る

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2008/06/14 03:06
第256球
 マンモスのブルペンで守野台(兵庫)のエース・太薙原紘一は、しゃがみこんでいた。「大丈夫ですか」。遠くから、そんな声が聞こえてきたが、これには返事はせずに、右手を上げて微笑み返した。下を向いて、上を向いた。これを3回、繰り返した。自然にこんな動きになった。いつのまにかクセになっていたようだ。 ...続きを見る

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2008/06/07 01:46
第255球
 気持ちがこもっていた。腕を思いっきり振った。振れたのがうれしかった。まったく痛くなかった。なんともなかった。むしろ、以前よりも軽かった。指のかかりも、よくなっていたと思う。いい球がいったな。確かにそう感じた。なぜ、こんなに…。わからなかった。自分の体のことなのに…。急に、できた。 ...続きを見る

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2008/05/31 02:20
第254球
 瑞泉(西東京)アルプス席で、GSコンビの「S」早瀬将吾の妹・瑠未が立ち上がって、声をからしていた。彼女だけではない。隣の父・達将も母・愛子も、1球、1球、興奮していた。1球、1球、声をあげた。そんな3人もちょっとびっくりした。それは守野台(兵庫)応援団も同じ反応だった。 ...続きを見る

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2008/05/24 04:22
第253球
 瑞泉(西東京)アルプス席からも再び黄色い声が響き渡った。「ゲンジ! ゲンジ! ゲンジ!…」。打席に向かうGSコンビの「G」剣源氏もその声がはっきり聞き取れた。ピッチングでなえていた心が、この時は再び高ぶっていた。イメージもできていた。自分が取られた分は自分で取り返す! 燃えていた。 ...続きを見る

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2008/05/17 03:44
第252球
 力があふれてきたような気がした。そうなんだ、と一生懸命、自分に言い聞かせた。肩は重い。でも、まだまだ自分の方がマシなんだから…と。全力で投げることができる。全力で走ることができる。あいつらに比べれば、恵まれているんだ、と考えた。そう思えば、楽になったような気もした。 ...続きを見る

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2008/05/10 01:48
第251球
初体験だった。珍しく興奮したという。歓声に感謝した。何とか対応してくれた限界に近い体にも感謝した。さらに自分にはこう言い聞かせた。「戦いはまだまだ続く。これで気を緩めるな!これからが勝負だ!」。そう思わないとやっていけないような気がした、という。 ...続きを見る

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2008/05/03 03:31
第250球
 「大丈夫か」。そんな声に振り返り、オーバーアクションで「ハイ、大丈夫です!」と答えた。本当は大丈夫、ではなかった。痛みもあった。しかし、これを敵に悟られてはいけない、と思った。普通に、普通に。それを言い聞かせながら、いつもよりもゆっくり歩いた。 ...続きを見る

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2008/04/26 02:17
第249球
 肩が一段と重く感じた。「落ち着け! 落ち着け!」。いろんな人が、きっとそう言っているんだろうなぁって、なぜか人ごとのように思えたという。こんな大舞台で、どうしたんだ、どうなったんだ、オレは…。わかっているけど、体がこの時は動かなかった。 ...続きを見る

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2008/04/19 03:55
第248球
 ちょっとの間、何も考えられなかった。頭の中が一瞬、真っ白になったような…。スタンドの大歓声も耳に残らない。無音の世界の中に、たった一人だけ、いるような、そんな気さえした。それから、我に帰った。現実の世界に戻ってきた、というべきか。足が自然と震えた…。 ...続きを見る

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2008/04/12 23:07
第247球
 マンモスには本当に「魔物」がいるのだろうか。瑞泉(西東京)対守野台(兵庫)の決勝戦。両軍ベンチ、ともに、それを痛感するゲーム展開になった。壮絶な戦い。この後、どんなドラマが待っているのか、もちろん、誰もわからない。だが何かが起きそうなムードだった…。 ...続きを見る

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2008/04/05 03:54
第246球
 乱れた心を正常に戻すことがなかなかできなかった。普通が普通でなくなっていた。体は元気なはずなのに、相手投手より、ずい分、楽なはずだったのに…。キャッチャーのミットが遠く感じた。そして、軽すぎた肩が突然、重く感じ始めた。 ...続きを見る

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2008/03/29 04:41
第245球
 アンダーシャツを着替えた。右手で何度もグー、パーを繰り返した。指先の感触があまりなかった。肩もヒジも痛くなかった。もうわからなかった。自分の状態が…。ただ声を出した。味方打線を元気づけるために、大きな声で…。気合は負けていなかった。 ...続きを見る

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2008/03/21 03:39
第244球
 隣の父兄から「やったぁ」と声をかけられた。「すごい、すごい」と何度も言われた。娘も妻も最高の顔をしていた。グラウンドでは投げ終わった息子が落とした帽子を拾って、かぶり直していた。顔はよく見えない。でも間違いなく最高の顔をしていた…。 ...続きを見る

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2008/03/15 03:23
第243球
 わからなかった。自分の中に何が起きたのか、どうなってしまったのか…。一生懸命考えた。考えれば、考えるほど、うまくいかないような気もした。一生懸命、リラックスしようと思った。そう思えば、思うほど、かたくなっているような気がした。 ...続きを見る

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2008/03/07 16:00
第242球
 1球投げるたびに、指先がしびれた。握力がなくなってきたような気もした。ナックルを投げ続けているのが不思議だった。「変化してくれ!」って祈るようにもなった。前向きに、前向きに…。1球、1球、プラス思考の思いもボールに乗せた。 ...続きを見る

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2008/03/06 02:57
第241球
 思い出の品だった。勝手に記念の品にしていた。お守りにもしていた。あの人のことも、これが守ってくれるはず、と思い込んだ。目と目があった、あの日のことが忘れられない。そこから始まった。熱い、熱い夏が…。 ...続きを見る

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2008/02/29 03:31
第240球
 兵庫・守野台の1年生・飛浦海斗は猛然と走った。足はそんなに速くない。それが大舞台でものすごく速くなったように見えた。ベンチから、応援団から歓声が上がる中、二塁を蹴った。、三塁も蹴った。目指すはホームベースのみ、だった。 ...続きを見る

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2008/02/22 00:34
第239球
 オーラが出ていたのかもしれない。気対気なら、両者には大きな差があったような…。応援は互角に盛り上がっていた。点差はくっきりだった。それでも、結果は…。マウンド上とバッターボックス内から漂うムードが、その答えを表していたようだ。 ...続きを見る

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2008/02/14 03:23
第238球
 ちょっと気持ちが悪かった。うまくいきすぎのような気がして…。体がいつもより軽くなってきたような気にもなった。プレーボールの頃はあれほど、重かったのに…。すいすい、投げた。ホームランも2発放ったのだから、気分が乗って当然だろう。でも、何かが…。 ...続きを見る

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2008/02/08 03:35
第237球
 苦しかった。両親のつらそうな顔を見るのが嫌だった。どうして、もっと明るくなれないのか、って思った。でも、やがて、その思いさえも懐かしく思えるようになったのだから、幸せだ。あの頃があったから、今がある。それが大きな支えになっていた。 ...続きを見る

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2008/02/01 03:09
第236球
 「どうして甲子園にいかへんのか」。会う人、会う人にそう聞かれた。「見に行きたいけど、自分には今、やらなければいけないこともあるから…」とそのたびに答えた。「息子もわかってくれています。球場に行かなくても、俺たちがアイツの一番の応援団だから」とも付け加えた。 ...続きを見る

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2008/01/25 01:49
第235球
 実にすがすがしい顔をしていた。やられたときは素直にそう思うようにしている。そう思うようになってから、強くなった気がした。引きずらずに次のステージに進むこともできた。失敗をバネにまた成長するんだ、って感じで…。 ...続きを見る

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2008/01/19 02:43
第234球
 自分の姿が頭の中に描かれていた。スローモーションで事細かくイメージされていた。後はそこに、自らを当てはめるだけだった。はまれば勝ち。裏目に出たら負けだった。正直、それしか道がないような気がしていた。これもカケ、だった…。 ...続きを見る

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2008/01/12 01:07
第233球
 足場を軽くならした後、マウンドを正視した。「ヨシっ」と軽くつぶやく相手の顔が見えた。と同時に、もう構えに入っていた。あくまで自分のペースで戦いたい。先にファイティングポーズを取った。来た。初めて見る軌道だ。グググッ…。力が入った。 ...続きを見る

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2008/01/06 00:27
第232球
 海斗マニア団長の香村瞳はバッグから赤い鉢巻を取り出した。額のところにちょうど「海斗」の2文字が刺繍されてある。守野台(兵庫)の1年生投手・飛浦海斗の甲子園Vを祈って、昨晩徹夜で準備した。ここぞの時に応援の気持ちを引き締めるために…。 ...続きを見る

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2007/12/29 23:05
第231球
 また両手を交差させた。「ヨシっ」。また小さくつぶやいた。今度はさっきよりも指に力を込めてみた。「やっぱり最初から、基本通りだったかな」と思いながら…。KOSMOS放送の塁沢アナも気がついた。ネット裏のプロ野球関係者もここで初めて気がついた。 ...続きを見る

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2007/12/22 04:07
第230球
 土煙があがった。またまた海斗マニアたちの悲鳴が響き渡る。瑞泉(西東京)風喜監督が大きな声をあげる。守野台(兵庫)の正捕手・石陪がひきつった顔で動いた。一塁走者の坂芽はもちろん、二塁に向かっていた。球速は87キロだった。 ...続きを見る

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2007/12/14 20:22
第229球
 球速はジャスト90キロだった。スタンドの海斗マニアたちが悲鳴のような声で騒いでいた。観衆はほんの少しだけ、ザワっとなった。ネット裏最上段のアンドロメダの面々もあっけにとられた感じだった。守野台(兵庫)紀中監督も目を丸くしていた。 ...続きを見る

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2007/12/08 15:26
第228球
 素晴らしい音がした。「ナイスボール!」。自然とそんな声が出た。とても病み上がりには見えなかった。それどころか、休み肩もあってか、以前より、すごくなっているようにも見えた。ベンチで見ていた守野台(兵庫)・紀中監督も正直、驚いていた。 ...続きを見る

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2007/11/30 14:56
第227球
 守野台(兵庫)の1年生右腕・飛浦海斗は立ち上がりから苦しい投球だった。やはり疲れがあるのか、球のキレは今ひとつだったし、何より球速があまりにも…。紀中監督は背番号1を早くもブルペンに走らせた。ネット裏のスカウト陣がそれを見てどよめいた。 ...続きを見る

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2007/11/25 02:49
第226球
 西東京代表・瑞泉GSコンビの「S」こと早瀬将吾の父・達将は目に涙を浮かべていた。娘の瑠未が大はしゃぎしているなかで、むしろシンミリしていた。感涙…。うれしくてたまらなかった。自分の夢を息子が代わりに果たしてくれた。そう思ったら、もう…だった。 ...続きを見る

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2007/11/17 19:59
第225球
 決勝戦のKOSMOS放送実況は絶叫の塁沢高次アナ、そして解説は元クールセブン監督の梁池篤和氏、3回戦の真極学園(東東京)対にしき水惣(愛知)戦以来の「コンビ」だ。放送前は「あの試合はすごかったですねぇ」なんて言っていた2人。それがいきなり声を裏返らせた。 ...続きを見る

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2007/11/10 03:45
第224球
 やはり特別な場所だった。そこにいるだけで、こみ上げるものがあった。力もわいてきた。投げたい、と切に思った。気がつけば、肩を、腕をくるくる回していた。気迫はよみがえっていた。ブランクは関係ない! いける! と思った。グラブをパーンとたたいた。 ...続きを見る

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2007/11/03 04:02
第223球
 両校のスタメン発表が始まった頃、雨がポツリ、ポツリと降ってきた。だが予報によると、大きな雨は一度ありそうだが、長引かないとのこと。もちろん、この程度で中止にできるはずもない。先行は西東京代表・瑞泉。そして後攻の兵庫代表・守野台のマウンドには…。 ...続きを見る

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2007/10/26 23:15
第222球
 その日の朝は慌しかった。家には自分以外、誰もいない。軽い朝食の準備をして、食べて、片付けて、洗って、身支度して…。「あっ、今日は鞄はいらないな」とひとりでつぶやいて、ちょっと笑みを浮かべて、戸締りと火の元を何度も確認して、家を出た。東京駅に向かって…。 ...続きを見る

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2007/10/20 23:34
第221球
 アンドロメダリーダーの大田原健太郎は東京グレート総務課長の村澤三四郎に電話を入れた。元愛知ソニックのトレーナー・欅重次郎のことで聞きたいことがあった。「村澤さんなら、欅さんと彼の話をよく知っているでしょうから…」。どうしても気になっていた…。 ...続きを見る

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2007/10/14 03:23
第220球
 マスコミが遠巻きで見ていた。こそこそ、ひそひそ話も聞こえてきた。でも、もう気にしなくてよかった。普通に戻った。「やっと、いつものように話せますね」と笑った。こう返ってきた。「オレは最初っから、あまり気にしていなかったけど、まぁ、アイツらのことを考えればな」と…。 ...続きを見る

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2007/10/07 00:37
第219球
 涙があふれた。様々な思いが駆け巡った。スタンドの応援、拍手が身にしみ、また泣いた。マジックがついに…。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。「どうして?」。「なぜ?」。何度そう思ったことだろう。マンモスで、もう泣くしかなかった。 ...続きを見る

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2007/09/24 01:31
第218球
 守野台(兵庫)アルプス席に大きな拍手が沸き起こった。1年生野球部員・威邑甲斐都も拍手していた。マネジャーの埜口からは「かいとA」と呼ばれている男も心の底から喜んだ。「来年は絶対、あの場にオレもいる!」と強く誓いながら…。 ...続きを見る

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2007/09/16 23:03
第217球
 守野台(兵庫)ベンチ裏で背番号10・飛浦海斗は右肩を押さえていた。痛くはない。でも重かった。マネジャーの埜口が「かいとB!無理はするなよ」と声をかけた。そして、そこに「そうだ! もう無理はするな。次の回からはオレが行く!」との声が…。 ...続きを見る

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2007/09/15 04:35
第216球
 あっけにとられていた。バッターもキャッチャーもアンパイアも、守野台(兵庫)ナインも、スペクトル学園(神奈川)ナインも、スタンドの観衆も…。マウンドの高維充は帽子をとった。いかにも「失敗したぁ」って顔だった。第1球は打者の背中に当たっていた。しかも仰天の…。 ...続きを見る

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2007/09/08 01:16
第215球
 マウンドで右腕をぐるぐる回した。「スペクトル学園の選手の交代をお知らせします。ピッチャーの浦鍋君がライト。ライトの高維君がピッチャー。5番ピッチャー、高維君。9番、ライト浦鍋君。以上に代わります」。場内アナウンスが響き渡り、胸が高鳴った…。 ...続きを見る

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2007/09/03 00:00
第214球
 マンモスの守野台(兵庫)アルプスに、彼はいた。ベンチ入りできなかった1年生野球部員。同級生の"出世頭#浦海斗をうらやましく思いつつも、懸命に声を出していた。中学では県内でも名の知れた投手だった。そして彼こそがこのチームの「流れ」をかえていた…。 ...続きを見る

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2007/08/26 12:15
第213球
 ベンチ裏の大鏡の前でスパイクの紐を締め直した。5回から、そこに座っていた。ベンチにはあえて出なかった。やはりまだ無理だったか…。歯がゆかった…。肩で息する後輩の姿はそこからは見えない。でも、感じていた。何とかできないか。思い直したように立ち上がった。 ...続きを見る

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2007/08/16 03:42
第212球
 「ヨッシャーァー!」「ナイスファイト!」「ここから! ここからぁ!」「いける! いけるぅ!」…。テレビの前で大声を張り上げていた。たまたま家に遊びに来ていた、いとこの双子の小学生もつられるように、ワーワー騒いでいた。マンモスに負けないくらい、そこはうるさかった。 ...続きを見る

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2007/08/09 04:44
第211球
 終わって汗が一気に噴き出した。よく覚えていない。あの時、オレはどうしたのか。どうしようとしたのか。何が起きたのか…。後になって泣いたが、この時のことはどうしても思い出せなかった。あの瞬間だけ、記憶が…。こんなこと、初めてだったという。 ...続きを見る

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2007/08/02 03:58
第210球
 マウンドで飛浦海斗(守野台=兵庫代表)は思わず天を仰いだ。打球がレフトスタンドに吸い込まれていく。と同時に「海斗マニア」の女性たちの声が…。気力だけで投げていた。声援などに支えられて投げてきた。だが、もはや限界だったのか…。 ...続きを見る

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2007/07/26 04:15
第209球
 取ったら取り返す。この繰り返しだった。気持ちと気持ちのぶつかり合い。双方ともに負ける気はなかった。当たり前だが、勝つ気だった。ただし応援だけは、がっぷり四つではなかった。地元・兵庫。加えてスター投手。マンモスはそちら寄りに揺れていたようだった。 ...続きを見る

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2007/07/18 04:41
第208球
 ここまでの打席は全部、三振だった。まったくかすりもしない無残な…。相手投手の球は130キロ台前半のストレートが中心だ。それにスライダー。それに対応できていなかった。でもチームメートは期待してくれた。「頼むぞ!」と言ってくれた。 ...続きを見る

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2007/07/11 03:52
第207球
 試合は4−4の同点で7回に突入していた。両チームともに、流れをつかみそうでつかめない。どっちともツイているようにも思えたし、どちらともツイていないようにも見えた。激戦だったとはいえる。勝利の女神はどちらに微笑むのか。ここからが勝負だった。 ...続きを見る

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2007/07/07 03:22
第206球
 "巨人≠ヘマンモスでもひと際、目立っていた。プレーは地味だったが、十分インパクトはあった。話題にもなった。そして、このチームはこの男なくしては勝ち進めなかったのも事実だった。頭脳派、データ派…ということは、あまり知られていなかったが…。 ...続きを見る

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2007/06/30 00:27
第205球
 「できる限り、何とかやってみます」。18歳になったばかりの高校球児は深々と頭を下げた。兵庫県内の某病院。お世話になった看護婦からも「応援するからね」と激励された。ときめいた。力がわいた。「ようやく…」。腕を軽く回した。 ...続きを見る

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2007/06/23 02:36
第204球
 男だからな、と思っていた。しょうがないよな、と思ったことも正直あった。いろいろ考えた。でも、最後に行き着く答えはいつも同じだった。何となく、これが当たりじゃないか、と思った。想像して笑った。それだけに…。ちょっと顔が赤くなった。 ...続きを見る

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2007/06/16 01:37
第203球
 空がまぶしかった。雲ひとつない。「きれいなものだな」と思った。室内にいるから暑くない。でも、きっと、あそこは…。「空の色を気にしたことってなかったなぁ」とぼんやり考えた。「こういうことって、こういう時にしか考えないんだよな、きっと…」。外が懐かしくも感じた。 ...続きを見る

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2007/06/08 02:05
第202球
 一歩前に出ることさえできなかった。思うように動けなかった。どうしてもためらった。拍手と涙。その空気を邪魔できないと思った。そういう形で入り込んではいけないと思った。プロではない、かもしれない。それでもいいと思った。自分で判断したことだから…。 ...続きを見る

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2007/06/01 04:16
第201球
 灼熱地獄の後も、やはり暑かった。汗びっしょりになった。ひと言、ひと言が重かった。タオルを首からぶらさげた人たちに囲まれて言葉を選んだ。正直な気持ちが言えなかった。笑みはこぼした。でも、あまり、うれしくはなかった。 ...続きを見る

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2007/05/26 03:38
第200球
 マンモスの委員通路はごった返していた。首都タイムズ・アマチュア担当記者の樹鞍諒一も、その中にいた。9回表突入と同時に試合後取材のため、駆け足でスタンドから降りていた。通路内のモニター。「いったいどうしたんだ?」。リプレーに見入った。 ...続きを見る

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2007/05/19 00:38
第199球
 クルリと背を向けた。サングラスを一瞬だけ外し、手で額の汗を拭った。手帳は内ポケットにしまいこんだ。階段を降りた。多くの野球ファンも続いた。「これで…」「これで本当に良かったのだろうか」。マンモスがやけに大きく感じたという。 ...続きを見る

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2007/05/13 00:25
第198球
 アンドロメダリーダーの大田原健太郎は、にしき水惣(愛知)のエース・結城亮のピッチングを見ているうちに、こう思わずにはいられなかった。「結城と彼とどっちが上だっただろうか。彼なら、結城の投球にどう立ち向かっただろうか」。想像していた…。 ...続きを見る

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2007/05/10 03:34
第197球
 総立ちの真極学園(東東京)ベンチで、古城直人と高杉賢明がさらに身を乗り出していた。「もう一度…」「もう1回…」。ともにそう念じていた。「鷹! 頼む!」「神! 落ち着いていけ!」…。ネバーギブアップ。まだまだ奇跡を信じていた。 ...続きを見る

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2007/05/03 14:56
第196球
 目が鋭かった。目が特徴的だった。目がウリだった…。首都タイムズのアマチュア担当記者・樹鞍諒一には見覚えのある顔だった。その時より雰囲気は変わっていたが…。事前に「ベンチ入りしたんだなぁ」と思っていたが、念のためメンバー表を再確認した。 ...続きを見る

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2007/05/01 01:36
第195球
 スーパーエース・結城亮(にしき水惣=愛知)の球はまたしても、とんでもないボールだった。マンモスがドッと沸いた。KOSMOS放送の絶叫アナ・塁沢高次のツバが飛んだ。真極学園(東東京)・大伴監督は身を乗り出した。古城直人も高杉賢明も荒堀浩二も…。 ...続きを見る

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2007/04/28 01:29
第194球
 「なぜだ?」「どうして?」。毛利拓馬(真極学園=東東京)は相手の心理がまったく理解できなかった。「足を警戒しているのなら、塁に出すのは嫌だろう。だから違う。もしかしたら、ただ遊ばれているだけなのか」…。マウンドをにらみつけた。 ...続きを見る

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2007/04/25 03:30
第193球
 ここぞという時に力が入った。ストレートの球速さえも自由自在に見えた。それも140キロ台、150キロ台、そして驚異の160キロ台といったレベルで…。今大会で、いや、この試合で、間違いなく進化した。それこそ怖いくらいに…。 ...続きを見る

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2007/04/22 00:25
第192球
 ケロっとしていた。堂々としていた。落ち着いていた。ロージンを手に、いつものように軽くポンポンポン…。喜怒哀楽がないわけではない。悔しそうな顔もすれば、笑顔ものぞかせる。なのに、なぜか機械にも見えるような…。それほど精密すぎた。 ...続きを見る

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2007/04/20 14:48
第191球
 声が枯れるまで応援は続いた。勝者と敗者。その熱に変わりはない。このまま勝ってくれ、と祈った。何とか逆転してくれ、と願った。勝っても涙、負けても涙…。真極学園(東東京)、にしき水惣(愛知)両軍サイドのボルテージが一段と上がっていった。 ...続きを見る

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2007/04/17 02:20
第190球
 名古屋・にしき水惣の校門前に一人の男が立っていた。誰に気づかれることなく、軽く一礼すると、駅の方へ歩を進めた。ふと時計を見た。「そろそろ真極学園(東東京)との試合が終わる頃か…」。地下鉄の切符売り場に急いだ。 ...続きを見る

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2007/04/15 23:58
第189球
 その時、多摩田千夏は名古屋の自宅で手を合わせていた。テレビはついている。だがラジオのように音だけ聞いた。時折、マンモスから双子の娘・恵奈と清奈から交互に電話が入った。にしき水惣(愛知)スーパーエース・結城亮の実母はひたすら祈った…。 ...続きを見る

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2007/04/14 03:04
第188球
 にしき水惣(愛知)セカンドの明智吾郎はグラウンドでこんなことを考えていた。「ええっと、白、白…」「ええい、こうなったら真極学園(東東京)のユニホームが白だから、それでいいや」「次に5、5、5…」「うーん、今、打席の高杉の背番号5にしとくかぁ」「で、コーヒー…」…。 ...続きを見る

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2007/04/07 14:50
第187球
 にしき水惣(愛知)アルプス席の外野寄りの一部が騒々しくなった。10人くらいの女の子たちがドーっと現れてキャーキャー言っている。水惣応援団がちょっとムッとした感じでうかがう。次の試合の選手が室内練習場とグラウンドを結ぶ通路で戦況を見つめていた。 ...続きを見る

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2007/03/31 03:15
第186球
 真極学園(東東京)には後にクセ盗みの達人≠ニ呼ばれるようになる男がいた。彼はこの甲子園大会からベンチ入りメンバーに抜擢された。大伴監督もその才能に気づいていたのかもしれない。4番・古城直人と5番・高杉賢明はそんな同級生の力を借りていた。 ...続きを見る

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2007/03/23 02:56
第185球
 マンモスの空を急に雲が覆い始めた。グラウンドの灼熱地獄に変わりはない。ただ、ちょっと薄暗くなったか。何となく不気味なムードが…。そして白熱の真極学園(東東京)対にしき水惣(愛知)の試合の流れが変わろうとしていた…。 ...続きを見る

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2007/03/17 17:08
第184球
 開いた手帳に印がつけてあった。「古城直人・豪州」との文字の左側に赤い星印が…。パタッと閉じた。一瞬だが目も閉じたように見えた。それから見つめた。打球が近づいてきた。右翼スタンドのサングラスとマスク男≠ヘ背筋を伸ばして、それを凝視した…。 ...続きを見る

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2007/03/14 02:46
第183球
 終盤の大きな山場がやってきた。白熱の投手戦となった甲子園大会3回戦・真極学園(東東京)対にしき水惣(愛知)。マンモスに詰めかけた観衆が沸く。KOSMOS放送の塁沢高次アナは息を飲んだ。ついに0−0の均衡が破られようとしていた。 ...続きを見る

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2007/03/07 02:45
第182球
 「あっ!」。首都タイムズのアマチュア担当記者の樹鞍諒一はそう声を上げて、ちょっと照れた。試合に夢中になりすぎると、そんなことがよくある。中立、冷静を心がけているだけに、そのたびに恥ずかしく思う。でも、きっといるハズだった。同じような反応をした人が…。 ...続きを見る

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2007/02/28 02:17
第181球
 騒がれることを覚悟してやってきた。真極学園(東東京)アルプス席で東京・燦春高校3年の雲海学太郎は真剣な表情だった。中途半端なままで終わりたくなかったという。さわやかに終わりたかったという。結果はともかく…。 ...続きを見る

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2007/02/21 02:28
第180球
 東京・燦春高校3年の雲海学太郎は、あの晩のことを決して忘れないという。燃えて、勇んで、飛び込んだ俳優・村雨修二郎(本名・毛利忠興)の家での出来事を…。いきり立っていた。ケンカ腰だった。声も自然と大きくなった。深夜の高級住宅街で決死の覚悟だった。 ...続きを見る

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2007/02/14 02:38
第179球
 当初、俳優・村雨修二郎は沈黙を守った。周囲からどんな陰口を言われようと、一切、口を開こうとしなかった。17歳の女優・水居ひとみは来春のハリウッド進出のため、米国に滞在中。今回の騒動について所属事務所が徹底的にガードした…。 ...続きを見る

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2007/02/06 02:28
第178球
 155キロの剛速球を真極学園(東東京)の2番打者・関守が豪快に空振りすると、にしき水惣(愛知)の強肩捕手は何と座ったまま、二塁へ送球した。それも、今まで以上に勢いあるボールで…。遊撃手がこれまた絶妙のタイミングで二塁に入る。プレーにスキがなかった。 ...続きを見る

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2007/01/29 02:38
第177球
 今度こそ、の思いだった。次は必ず、と強く誓った。真極学園(東東京)のトップバッターの毛利拓馬は、マウンドのにしき水惣(愛知)エースの結城亮の顔をチラっと見たあと、捕手・大和竜照に目をやった。道を切り開くために…。 ...続きを見る

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2007/01/26 23:04
第176球
 それは東東京代表・真極学園アルプス席で、ある有名な紳士が、高校生の若者に頭を下げたシーンだった。それを見守りながら、首都タイムズの芸能担当記者・耐輪文和は直撃の準備に入っていた。数週間前の出来事を思い出しながら…。 ...続きを見る

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2007/01/21 16:57
第175球
 マンモスのライトスタンド。帽子を深めにかぶり、大きなサングラスに、大きなマスク。いかにも変装しています、って感じの男が真極学園(東東京)対にしき水惣(愛知)の熱戦を見守っていた。「予定通りだな」。男は手帳を取り出し、何事か確認しながら、つぶやいた…。 ...続きを見る

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2007/01/15 03:55
第174球
 「甲子園はどうなっている?」「何回までいった?」「今、何対何?」…。神奈川マジックの練習中、高杉明太郎は関係者とすれ違うたびに聞いていた。親子ほども年の離れた実弟・賢明のことが気になってしかたなかった。真極学園(東東京)対にしき水惣(愛知)の試合が…。 ...続きを見る

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2007/01/09 02:07
第173球
 またまた場内がざわついた。この試合、何度目だろうか…。1球ごとに、まさに矢継ぎ早に…。同じ空気、同じニオイ、ほとばしる熱気が…。甲子園大会3回戦・真極学園(東東京)対にしき水惣(愛知)はさらに熱くなっていった…。 ...続きを見る

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2007/01/05 02:36
第172球
 センター・飛騨隆久(にしき水惣=愛知)が屈伸運動を始めていた。スタンドのファンもそこに注目しているようにも見える。そんな空気を察知したのだろう。KOSMOS放送の塁沢高次アナは「さぁ、またミラクルかぁ!」と思わず口走っていた。 ...続きを見る

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2006/12/31 04:42
第171球
 スーパーエース・結城亮(にしき水惣=愛知)のピッチングは一段と凄みを増していた。150キロ台前半のストレートが、さらに速くなっていく。「まさか、160キロを出すんじゃないだろうな」。マンモスのスピードガンに観衆の視線は集まっていった。 ...続きを見る

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2006/12/25 04:31
第170球
 高校野球の中では間違いなくハイレベルな対決だった。ピッチャー対バッターの力と力のぶつかり合いもいいが、こんな激突も見ごたえがある。わずかなスキも命取りになる。それこそ一瞬の勝負といってもいいだろう。2人の洗練された動きにマンモスは釘付けとなった…。 ...続きを見る

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2006/12/21 00:06
第169球
 ハンパな俊足ではなかった。予選以来の盗塁成功率は何と100%を誇っている。しかし、そんな武器も塁に出ることができなければ宝の持ち腐れだ。精密機械≠ヘそんな難敵と戦っていた。ミスターK氏のデータと懸命に照らし合わせながら…。 ...続きを見る

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2006/12/17 17:14
第168球
 真極学園(東東京)大伴監督はナインを集めた。にしき水惣(愛知)のスーパーエース・結城の調子が上向きだしている。「何でもいいから、早く流れをつかまないと…」。狙い球を徹底した。長打を狙わずにミートで剛速球に対抗させようとした、という。 ...続きを見る

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2006/12/12 12:56
第167球
 大げさだろうか。その瞬間、地鳴りがしたような気がした。「ホーっ」。ネット裏最上段の首都タイムズアマチュア担当記者の樹鞍諒一はちょっと年寄りじみたリアクションを見せた。にしき水惣(愛知)アルプス席の村澤三四郎(東京グレート総務課長)もうなっていた…。 ...続きを見る

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2006/12/08 03:25
第166球
 子供の頃は力士になりたかった。それが、いつしかプロ野球選手に変わった。太い腕がたくましい。打席に入る前の素振りも豪快だ。「八重さんにも見せてあげたかったな…」。にしき水惣(愛知)アルプス席で村澤三四郎(東京グレート総務課長)は,つぶやいていた。 ...続きを見る

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2006/12/04 00:27
第165球
 マンモスはまだどよめいていた。賞賛の拍手を送った後もざわついていた。にしき水惣(愛知)アルプス席にいた村澤三四郎(東京グレート総務課長)も同じだった。ネット裏最上段に陣取るアンドロメダの面々もそう。非現実の世界に紛れ込んだ気分だった。 ...続きを見る

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2006/11/28 03:05
第164球
 マウンドのにしき水惣(愛知)エース・結城亮は捕手・大和竜照のサインにうなずいた。迷いはない。陰の参謀・ミスターKのデータ通りだ。真ん中低め。ただしボールひとつく分ほどストライクゾーンから外す。まさに精密機械のように結城は実行した。 ...続きを見る

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2006/11/23 12:51
第163球
 神奈川マジックの本拠地マジックスタジアムで高杉明太郎はテレビにかじりついていた。もうすぐ試合前の練習が始まるというのに、なかなか選手サロンから離れようとしなかった。画面には弟・賢明が大写しになっている。まるで自分の打席のように力が入っていた…。 ...続きを見る

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2006/11/18 13:49
第162球
 マンモスのスタンドが一瞬だけ静まったような気がする。それからワンテンポずれて、どよめいたような…。神がかり、奇跡といってもいいだろう。おそらく誰もがちょっと目を疑ったハズだ。そして現実と確認するや歓声に…。まさしくスーパープレーだった…。 ...続きを見る

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2006/11/13 03:19
第161球
 ちょっとニヤけてしまった。いや、本当は満面に笑みを浮かべたい気分だった。それが、この男の習性だった。立ちはだかるものが大きければ、大きいほどファイトがわく。東東京代表・真極学園の4番打者・古城直人はマンモスの大観衆の前で喜びをかみ締めていた…。 ...続きを見る

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2006/11/06 03:05
第160球
 愛知代表・にしき水惣のエース・結城亮の球は重い。しなやかなフォームからズドンと来る。しかも150キロ台がズバズバ来る。相手のバットをへし折るシーンが何て多いことか…。まだ高校1年生でコレだ。まさに怪物だった…。 ...続きを見る

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2006/11/02 03:20
第159球
 首都タイムズのアマチュア担当記者の樹鞍諒一は取材メモを無造作に取り出した。東東京代表・真極学園の2年生四天王との出会いを振り返るために…。とにかく彼らには驚かされっぱなしだった。そして甲子園でもまた彼らの成長を感じとっていた…。 ...続きを見る

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2006/10/28 22:07
第158球
 とにかく無表情だった。喜怒哀楽をどこか置いてきたのでは、と思えるほどの鉄仮面だった。何とも不気味だ。もっとも、それも訓練だったという。東東京代表・真極学園のエース・荒堀浩二は敢えてそうしていた。感情の起伏をコントロールしているうちにそうなっていた…。 ...続きを見る

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2006/10/24 02:55
第157球
 マウンドで東東京代表・真極学園の2年生エースの荒堀浩二が右腕を軽く回していた。140キロのストレートと、それと、ほぼ同じスピードのフォークボールのコンビネーションは絶妙だ。これに予選途中から使い始めた高速スライダーを織り交ぜて、大きく飛躍した…。 ...続きを見る

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2006/10/21 01:21
第156球
 ラッキーカラーはホワイトだった。幸運を呼ぶ数字は「5」。コーヒーゼリーを食べるといいことがある、となっていた。ちなみに今日の予告は「○○○…」。それを言った途端、にしき水惣ナインは「そりゃあ頼もしいなぁ。ぜひ頼むぜぃ!」とそいつと同じ口調で盛り上がったという。 ...続きを見る

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2006/10/16 02:12
第155球
 「3回戦注目のカードがまもなく始まろうとしています。愛知県代表の全員1年生チーム・にしき水惣が東東京代表の強豪・真極学園に挑みます。今日はどんなドラマが、このマンモスで起きるのかぁ!」。KOSMOS放送の名物絶叫アナの塁沢高次がほえまくった…。 ...続きを見る

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2006/10/10 13:43
第154球
 そこには秘密があった。そこまで大げさにいってはどうかと思うが、まぁ、秘密は秘密だった。中学時代、強肩、強打の捕手として関西でちょっとは知られていた大和竜照は、そこでのわずかな期間で間違いなく進化した。1年生で高校bP捕手とまで言われだした…。 ...続きを見る

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2006/10/05 03:40
第153球
 脅威のチームだ。予選を通じて、そのフレッシュな強さを見せつけてきた。マンモスでも台風の目になっている。それこそV候補と見るムキさえも…。そんな全員が1年生の愛知・にしき水惣の次の相手は東東京代表の真極学園。3回戦屈指の好カードになった…。 ...続きを見る

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2006/09/29 03:19
第152球
 手を合わせた。目を閉じて、こうつぶやいた。「久しぶりですね。おかげさまで、何とかやっています。今年は熱い夏になっていますよ。そして、楽しみな夏に…。どうか見守ってください…」。東京グレート総務課長の村澤三四郎だった。 ...続きを見る

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2006/09/25 03:13
第151球
 声が震えそうになるたびに、ひと呼吸入れた。轟大学園監督・大門昭二は目にごみが入ったふりして何度もふいた。1年生左腕・俵星光が「僕のせいですか!」と思わず、声をあげると、無言で首を振った。ナインに動揺が走った…。 ...続きを見る

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2006/09/21 04:24
第150球
 轟大学園監督・大門昭二はナインの前で深々と頭を下げた。「ありがとうな」と「すまなかったな」を何度も繰り返しながら…。目の前の鉄板で次から次へと、広島風お好み焼きができあがっていくなかで、その口調はいつになくシンミリしたものだった…。 ...続きを見る

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2006/09/19 01:05
第149球
 轟大学園の1年生左腕・俵星光のストレートは145キロを計測した。もう限界は超えていたハズだ。それを気力がカバーした。これぞ火事場のバカ力か、といっては失礼か。うなる剛速球はきっちり捕手・俣神の構えた外角低めに向かう。炎の投球だった…。 ...続きを見る

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2006/09/16 16:03
第148球
 7回裏の27球勝負≠ニは違った形にも轟大学園・俵星光は口元を引き締めていた。気を緩めるところはない。スタンドの大歓声をバックに1球、2球、3球。投げても投げても、その表情に変化もない。打席の瑞泉・早瀬将吾もまた、緊張感をキープしていた…。 ...続きを見る

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2006/09/11 01:28
第147球
 瑞泉GSコンビのG≠アと、剣源氏が放った打球は上空高く舞い上がった。一塁へ駆け出した剣が「入れ! 入れ!」と念じる。マウンドの轟大学園・俵星光は打球を目で追いかける。入れば同点の場面でマンモスが沸きかえった…。 ...続きを見る

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2006/09/08 15:57
第146球
拳に力を込めた。大きく振りかぶった。轟大学園の俵星光は「これでどうだぁ!このヤロー!」と心の中で雄叫びをあげながら、投げ込んだ。「うっ!」。打席の瑞泉・早瀬将吾もその気迫に思わず圧倒された。 これまで以上のストレートが内角を襲った…。 ...続きを見る

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2006/09/04 16:18
第145球
 純粋な輝きがスタンドを魅了した。ついこの間まで中学生だった2人が、まだ15歳の2人が大観衆を興奮させている。2人の一挙手一投足がマンモスに微妙な空気を作り出している。きれいではないかもしれない。しかし汚さは少しも感じさせなかった…。 ...続きを見る

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2006/08/31 15:43
第144球
 甲子園球場、バックネット裏最上段にアンドロメダチームは陣取った。記者席のさらに上方だ。調査員たちは資料と照らし合わせながら、球児たちをチェックした。プロ野球界の未来を担う逸材を求めて…。7日目第1試合、轟大学園対瑞泉には皆が身をのり出して見た…。 ...続きを見る

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2006/08/28 02:55
第143球
 がっぷり四つだった。激しい攻防にマンモスが揺れた。年齢、学年は関係ない。話題の男・大門がベンチで悠然たる表情を浮かべる。瑞泉のGSコンビのプレーが大観衆をひきつける。そして轟大学園の1年生左腕が…。見ごたえ十分の対決だった…。 ...続きを見る

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2006/08/23 23:34
第142球
 マンモスではアツい戦いが連日、繰り広げられた。勝ってうれしい笑顔あり、うれしい涙あり…。負けてさわやかな笑顔あり、悔しい涙あり…。どの試合にもドラマが必ずあった。アンドロメダ調査員たちも、自然と引き付けられていった。 ...続きを見る

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2006/08/19 14:18
第141球
 出番は大会第7日の第1試合に決まった。その瞬間、ナインが歓声をあげるなか、その男は黙って目を閉じた。わずか半年足らずでここまで駆け上がってきた。その日々が自然と思い起こされた。希望、絶望、転機…。おそらく超、超大ラッキーだろうな、と考えながら…。 ...続きを見る

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2006/08/14 17:04
第140球
 夢破れても、また新たな夢見て邁進する。その男は1年前には想像もしていなかった世界で短期間のうちに大躍進を遂げていた。まさに、うまくいきすぎて、気持ちが悪いほど…。アンドロメダ的夏…。その男は再び、スポットライトを浴びていた…。 ...続きを見る

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2006/08/09 15:46
第139球
 「九州のジェームスディーン」は思いっきり泣いた。泣かせて欲しい、とも思った。泣かずにいられるか、とも考えた。涙が滝のようにあふれ、こぼれた。大きな声をあげた。「悔しいんです」と叫んだ。絶えず注目を集めてきた18歳が少年に戻り、そして、また大人になった…。 ...続きを見る

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2006/08/07 16:30
第138球
 いったい何が起きたのだろう。どうなったのだろう。その瞬間、マウンド上の桜福坂エース・速水拳(3年)は自問自答するような感じだったという。長崎大会決勝、和場工戦。111球目。気合いを込めて投じたジェイのストレートが…。 ...続きを見る

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2006/08/02 16:17
第137球
 成長度は120%だった。持って生まれた野球センスに、逞しさ、力強さ、精悍さ…。とにかく昨年とは見違えるほどの存在感を示していた。もはや、ただのアイドル選手≠ナはない。将来有望な野球選手になっていた…。 ...続きを見る

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2006/07/28 16:02
第136球
 直感だった。見てはいけないものを見てしまったような…。同時にどうしようもない不安を感じた。自分に自信が持てないというか…。このままではいけない、と思った。何かを変えないといけないのではないか、と思った。そんな感情を止められなくなっていった…。 ...続きを見る

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2006/07/26 16:20
第135球
 今でも時々思い出す。あれから、どうしているのか、と…。幸せになってくれただろうか、と…。大祐は大きくなっただろうな。もう中学生くらいかな…。でも後悔はしていない。これは運命だったんだ、必然だったんだ、と…。 ...続きを見る

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2006/07/22 16:00
第134球
 衝撃だった。ドーンと来た。一瞬、何が何やらわからなかった。こんなこと、予想できるわけがない。思わず身構えた。とっさに大祐を守ろうとした。大阪の夜…。心斎橋の夜…。御堂筋の夜…。運命がまた交錯していた…。 ...続きを見る

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2006/07/20 00:02
第133球
 宝物だった。かけがえのない…。大阪ロックスター投手の神威小次郎(現アンドロメダ調査員)は、事も無げにそれを受け止めた。努めて前向きに…。もちろん、気にならないといえばウソにはなる。でもすぐに割り切った…ハズだった…。 ...続きを見る

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2006/07/12 18:00
第132球
 入れ替わり、たちかわりだった。何度も何度も確認した。最低でも10回…。それくらい念入りなアクションだった。人の運命を握る、というのはそれほどの重い責任ということだろう。そこにはアンドロメダ調査員の神威小次郎(元大阪ロックスター投手)の気持ちがこもっていた…。 ...続きを見る

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2006/07/03 21:39
第131球
 そこには大阪ロックスター二塁手の鬼崎平三(現アンドロメダ特別講師)が確かに待ち構えていた。ややいつもよりも緊張気味に…。珍しくスーツを着込んでいる。いつものオッサン顔(といってもまだ20代前半だが…)とも何かが違っていた。動きも妙にぎこちなかった…。 ...続きを見る

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2006/06/28 18:49
第130球
 すべてをさらけ出してくれた。真剣に向き合ってくれた。うーん、いい感じ…。うーん、幸せ…。頬が緩む。頬が赤く染まる…。それがまさかMAXだったとは…。束の間だったとは…。もちろん、この時に気づくハズもなかったが…。 ...続きを見る

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2006/06/22 22:34
第129球
 あの日、空は青々としていた。日差しがきつかった。暑かった…。楽しい時間だった。達成感があった。何かしら、のんびりできた。久しぶりの休息といっても大げさではないだろう。未来も拓けていた。そのハズだったのに…。 ...続きを見る

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2006/06/21 02:09
第128球
 遊びは豪快だった。酒はほとんど飲んでいないのに、そんじょそこらの酔っ払いには負けないハイテンションだった。機嫌を損ねたらサイテーな空気が漂うものの、何か楽しい気分に浸れた。リラックスできた。気分転換になった、という…。 ...続きを見る

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2006/06/15 04:58
第127球
 鬼はやはり鬼だった。ほとばしる熱い血はやはり隠しようがなかった。その力はまだまだ衰えてもいなかった。それどころか、まだまだやれそうだった。いや、間違いなくやれた。燃えた。燃えた。鬼は昔のように燃えていた…。 ...続きを見る

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2006/06/12 04:33
第126球
 怒りのボールが鬼に向かっていった。魂をこめた球が打者の内角をえぐる。球速もそれなりにあったのではないだろうか。鬼の顔がさらに鬼のようになる。「あっ!」…。その瞬間、大阪・ロックスターナインは思わず声をあげた…。 ...続きを見る

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2006/06/06 17:05
第125球
 殴りかからんばかりにマウンドをにらみつけた。突き刺さる視線とはこういうことだろうか。まさに鬼だった。ド迫力だった。すさまじかった。正直、怖いくらいだった、という。大阪・ロックスターグラウンドで野球の鬼が火を噴いた。 ...続きを見る

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2006/06/05 20:21
第124球
 男と男の戦いだった。力対力の激突だった。怒号も飛びかった。異様な汗が流れた。ともに顔は真っ赤だった。周囲はそれを無言で見つめた。とても間に割って入るムードではなかったという。その時、そこは間違いなく戦場だった…。 ...続きを見る

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2006/06/01 19:22
第123球
 殴られた。こてんぱんにぶちのめされた。こんな仕打ちを受けたことはない。顔がはれ上がった。翌日は大きなマスクをして仕事に出るハメにもなった。悲しかった。悔しかった。ふざけるなって思った。正直、逃げ出したかった。でも、このままで終わってたまるかとの思いがそれをも勝った…。 ...続きを見る

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2006/05/31 16:53
第122球
 どうしてもかなわなかった。何度向かっていってもはね返された。クッソー! そのたびに燃えた。いつか勝つ! いつかギャフンといわせる! 燃えた、燃えた。それが何よりも活力剤になった。生きがいだった、という…。 ...続きを見る

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2006/05/30 17:59
第121球
 未来を夢見て没頭した。わずか数時間に集中した。新たなチャレンジがうれしかった。なかなかうまくいかなくても、そういう世界に浸れることが楽しかった。進歩が実感できた時はもっとうれしかった。失敗の連続の末だっただけに涙も出た…。 ...続きを見る

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2006/05/29 18:03
第120球
 腰を抜かさんばかりに驚いた。いったい、どうなっているのか…。いったい、いつの間に…。十分すぎるトレーニング器具が揃っていた。マシン打撃ができるようになっていた。ブルペンができていた。ついこの間まで何もなかったはずの場所にそれがあった…。 ...続きを見る

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2006/05/26 17:50
第119球
 ちょっと大げさにいえば、スリリングな脱出劇だった。午後8時30分。黒いワンボックスカーが桜福坂の「自信寮」に滑り込んでいく。「ファントムスポーツ」と記されている車から降りた男は大きなダンボールを抱えて、寮に消える。そして5分後、出て行った…。 ...続きを見る

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2006/05/24 18:17
第118球
 モデル兼高校球児・速水拳(桜福坂3年)のアンドロメダ講習は基本的に午後9時から深夜12時まで行われた。急に決まったので十分な設備はない。それでも、精一杯の教材、講師を調査員・神威小次郎は用意した。そして手に取るように感じたという。その進化を…。 ...続きを見る

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2006/05/22 17:23
第117球
 やる、と決めたら、とことんやらないと気がすまなかった。やる、と決めた時の集中力には自信もあった。中途半端にはできない。脇目もふらずにアンドロメダ調査員の神威小次郎は高校球児であり、モデルの速水拳(桜福坂3年)への援護に全精力を注ぎ込んだ。 ...続きを見る

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2006/05/18 20:31
第116球
 目が訴えていた。世の女性をとりこにする目が…。もしも、このシーンにJファンの女性がでくわしていたら、昇天してしまうのではないか…。それはともかく、その目は真剣だった。邪心がなかった。純粋に感じた。ただ野球で進化したい。それだけだった…。 ...続きを見る

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2006/05/17 16:48
第115球
 アンドロメダ調査員・神威小次郎は「彼」のことを「ジェイ」と呼んだ。アルファベットの「J」…。理由はひとつだった。全国の女性ファンがいつしか「彼」のことをそう呼ぶようになっていたから…。「彼」はちょっと抵抗していたが、それもそのうちあきらめた。 ...続きを見る

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2006/05/16 18:00
第114球
 黄色い声援が乱れ飛んだ。OL、女子大生、女子高生、もしかしたら主婦も中学生もいたかもしれない。平日なのに、学校は、職場は、家庭は、どうしているのだろう。そう思いたくなるほどの追っかけ≠フ数だった。 ...続きを見る

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2006/05/15 19:27
第113球
 それは夏の予選直前に、アンドロメダの大田原健太郎にかかってきた電話がきっかけだった。東京スパーク投手・朝竜興二からの情報。「知り合いから将来が楽しみな投手がいると聞いた。一度、見てはどうでしょうか」というものだった…。 ...続きを見る

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2006/05/11 17:27
第112球
 うだるような暑さが球児たちのドラマにはやけに似合っていた。全国各地でマンモスへの切符をかけた戦いが大詰めを迎えていた。下馬評通りの強豪校、復活の古豪、そしてフレッシュな新興勢力…。夢に向かって、しのぎを削る姿はやけに美しく、まぶしかった…。 ...続きを見る

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2006/05/10 17:39
第111球
 ポーカーフェイスの裏側は、やはり余裕たっぷりだった。「いける!」「打てる!」…。 自信に満ち溢れていた。追い込まれながらも確信していた。どっしりと構えた。いつでも来い! って言っているようだった。  ...続きを見る

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2006/05/09 17:26
第110球
目を開けた。口元を真一文字に引き締めた。腹をくくったような顔をしている。もう迷いはなくなった、ということだろうか…。捕手・塚西のサインにうなずいた。殿檜杉のエース・立花恭兵は丘陵・流鏑馬義に向かっていった…。 ...続きを見る

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2006/05/08 17:41
第109球
 殿檜杉のエース・立花恭兵は深呼吸した。そして応援席に目を向けた。いつもと同じだった。彼女がベンチのすぐ上にいた。両手を握り締め、ちょっとうつむいて、ひたすら祈ってくれている。うれしかった。彼女を見てから「アレ」をやる。これが立花の儀式でもあった…。 ...続きを見る

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2006/05/08 01:15
第108球
 スタンドで目が光っていた。ビデオカメラを操り、パソコンも広げていた。時折、ノートに軽くメモもとっている。すべてが手慣れていた。目的があった。丘陵高校1年・流鏑馬義があの男のターゲットだった。アンドロメダの大田原健太郎の…。 ...続きを見る

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2006/05/02 17:48
第107球
 打球は一、二塁間を抜けていった。いい当たりではない。グシャって感じ。ただ"負けてたまるか≠フ気持ちが通じたとしかいいようがない。執念のヒットだ。一塁ベース上でガッツポーズも出た。自然と出た…。 ...続きを見る

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2006/04/30 04:43
第106球
 どうして、こうも次から次へと…。人には平等に運があるはずではなかったのか。運を呼び起こす努力の差なのか。それとも、それが運というものなのか…。人が見違えるほどに、いいように変わると、ついついそう考えてしまう…という。 ...続きを見る

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2006/04/28 17:59
第105球
 精神を集中させた。1球入魂。気持ちで投げる。ボールに気持ちが入る。不思議なものだ。いつもと同じ球のハズなのに、相手の反応が違っていた。根拠はない。ただ気迫があったか、ないか。これだけでもずい分、抑える確率が高くなった…。 ...続きを見る

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2006/04/27 17:52
第104球
 あっけにとられた。どうなっているんだ、こいつは…。何なんだ、こいつは…。すべての面でスケールが違っていた。悔しかったが、一ランクも二ランクも、いやもっともっと上のレベルに見えた。震えた。いや武者震いだ、と自らに言い聞かせた…。 ...続きを見る

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2006/04/25 17:33
第103球
 怖かった。自信に満ち溢れていた、あの顔が…。不敵な笑みさえ浮かべているように見える、あの顔が…。炎天下のなかで鍛え抜いていた証しのようなやけに日焼けした、あの顔が…。飲まれた。この時点では明らかに負けていた…。 ...続きを見る

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2006/04/24 18:08
第102球
 汗が飛び散った。ものすごい集中力。たかが野球ではない。その時、その一瞬に人生をかけて、魂を込めている。それが普通、というものだ。無我夢中、必死な姿は美しい。1球にかける熱い思いはプレーにそのまま反映された…。 ...続きを見る