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zoom RSS 第293球

<<   作成日時 : 2009/02/23 01:24   >>

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 「そんなバカな…」。某スポーツ紙を見て、アンドロメダ九州地区調査員の神威小次郎は思わず声を上げていた。「そがんことが、あるわけなか」。そうぶつぶつつぶやきながら、電話した。向こうは笑っていた。ケータイ越しだからわからないが、たぶん苦笑いを浮かべていたと思う。「気づかれないものですね」とも話していた。



 アンドロメダ的9月。プロ野球のペナントレースが佳境となるなか、ドラフトの話題もマスコミには頻繁に取り上げられていた。この年は大学、社会人に大きな目玉選手がいなかったこともあり、将来性十分の高校生に注目が集まっていた。なかでも人気だったのは、投げてよし、打ってよし、走ってよし、さらにマスクよし、すべて兼ね備えた逸材と言われる九州のジェームス・ディーンこと、桜福坂の速水拳だった。長崎県予選決勝で敗れたが、プロサイドは「マンモス組」よりも明らかに力が上と判断していた。昨年までは人気先行の選手だったが、今年の夏前ごろから急成長し、一気に…。スポーツ紙では軒並み「10球団が速水1位を予定」と書き立てていた。




 速水は予選敗退とともに野球をやめる決意しており、ドラフトの目玉にはならない。しかし、練習はずっと続けていたため、プロ側はそれに気づいていなかった。アンドロメダメンバーでもある速水は野球との決別を、その関係者以外、誰にも口にしていなかった。それが、そういう状況にしてしまったようだ。



 アンドロメダと速水の関係を知っているマスコミ関係者やプロ球団関係者はわずかながら、いた。そういう人間は神威やアンドロメダリーダーの大田原健太郎に「速水の進路」について探りを入れてきた。だが、「プロか進学か、もしくは社会人入りか」「プロはどこの球団が希望か」などが、その質問内容。野球を速水がやめるなんて思ってもいなかった。まぁ、普通はそうだろうが…。


 神威は聞かれるたびに「さぁ、わかりません」。どんなに親しい人間にも、そうはぐらかした。健太郎も同じ。「希望は本人しかわからない。そういう話はしたことがありません」。本当のことを言えずに申し訳ない、と思いながら、そんな内容の言葉を繰り返した。そんな時だ。あるスポーツ紙に「衝撃の記事」が出たのは…。





 「速水拳、東京グレート以外は進学」



 「速水の注目の希望球団はグレートだった。当初は全球団OKと言われていた。だが、ここへきてグレート一本に絞り込んだ。モデルとしても活躍しているだけに、東京はそういう意味でもベストだった。グレートも、全面的にバックアップの構え。速水の決意はかたく、ドラフトでグレート以外に指名された場合は、大学に進学することにしている…」


 内容はそんな感じのものだった。



 まさに信じられない内容だ。神威も驚くばかり。そこで速水に確認の電話を入れた次第だった。




 速水も困惑していた。グレートの関係者はすごく熱心で、何度も何度も桜福坂に来ていた。他球団のスカウト以上の回数だったのは間違いない。感心するばかりだった。しかし、それが、どこで、どうなって、あんな報道になったのか…と。



 桜福坂関係者が先ほど、速水にこう連絡してきたという。取材した側に問い合わせたら「グレートサイドにも裏づけ取材をした上です。速水君には取材をしても、口を閉ざされましたが、その関係者もグレート希望を認めた」という。



 「なんなんでしょうね。誰なんでしょう、関係者って。まさか神威さんじゃ…って思いましたよ。マスコミをごまかして失敗したのかと…」。速水は笑いながら、標準語でしゃべった。


 「ジェイ、あのなぁ」。神威も笑いながら返すと、速水は「冗談ですよ。でも、そろそろ、発表とかしないといけないんですかねぇ。そんなつもりはなかったんですけど、このままでは、いろんな方々にも迷惑をかけそうで…」



 心配は現実になった。あの報道以来、マスコミが大挙して…。



 神威も久しぶりに桜福坂に向かった。道中、見覚えのある人が目の前に…。そして話してかけてきた。



 「神威さん、長崎ですか」



 首都タイムスアマチュア担当記者の樹鞍諒一だった。速水の記事が出た首都タイムスの…。


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